著作権の間接侵害による責任追及の可能性
前回,ユーザー間訴訟のことを書きましたが,
日本人のWebサイトでも,セカンドライフ内の著作権侵害が取り上げられているのを目にするようになりました。
参考サイト
つくらない人のためのSecond Life
うのまらま
このような場合,直接侵害者を訴えることの困難さについては,前回のブログで取り上げたとおりです。
それに,せっかく被告を特定して勝訴判決をもらっても,被告に強制執行される財産が何もなければあまり意味がありません。偏見かもしれませんが,セカンドライフのようなゲーム内で著作権侵害を行っているような人に大した財産があるようには思えません。このへんも最終的に問題となります。
それでは,リンデンに何らかの責任を追及することはできないのでしょうか?
リンデンは,素性はよく分かっていますし,勝訴したら取りはぐれがないでしょうから,もし責任を追及できたら,ユーザー間訴訟のような困難さはないと思われます。
著作権の間接侵害の責任追及に関しては,
ViacomがGoogle(YouTube)に10億ドルの損害賠償を求めた訴訟が注目されます。
japan.internet.comのニュース
GoogleはViacom の訴えに対する反論として,デジタルミレニアム著作権法(DMCA) の512条を持ち出そうとしているようです。これはセーフハーバー条項と呼ばれていて,著作権者の正式な届出に対応して著作権を侵害しているコンテンツを削除すれば,法的責任が免除されるというのが基本的内容となっています。Googleがこの条項の適用を受けるかどうかについては,様々な議論があるようですが,リンデンに間接侵害の責任追及をする場合にも,この条項が問題となる可能性があります。
hikoさんのブログを見ていますと,リンデンは,DMCAに基づく“Notice & Take Down”による削除手続で対応しており,このような手続に従っている限りは,セーフハーバー条項の適用を受けるということを前提としているようです。
したがって,リンデンの責任を追及するためには,例えば,ソフトの欠陥によって違法コピーを容易にしたとか,Copybotのような規約違反のツールの使用によって著作権侵害がされているのを知りつつ,有効な対応をしなかったなど,より積極的な関与があることが立証されないと法的責任追及は難しいと思われます。もっとも,単にバグがあるというだけでは法的責任を追及することは困難でしょう。それを知りつつ,容易に是正できるのにしなかったなどということが必要と思われます。
ただし,法的な責任は免れても,もし,著作権侵害が横行し,リンデンが不十分な対応しかしないとなると,このゲーム自体がユーザーから見捨てられる可能性があります。リンデンにそういった問題意識があるかどうか分かりませんが,著作権が保護されることをゲームのセールスポイントにしているのですから,リンデンの姿勢が問われていると思います。
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