2007年12月26日水曜日

仮想世界の紛争予防の重要性

世間では,クリスマスのようですが,わたしは,ひたすら仕事です(グスン)
かといって,せっかく始めたブログですから,そろそろ更新しないとヤバイです。あまり煮詰めた話もできませんが,忙しい師走なので,後日暇になったら補充ということでご勘弁願います。

最初,仮想世界の紛争をどう解釈するかという内容で,原稿を書いていたのですが,やはり,その前に強調しなければならないのは,紛争の予防ということです。リアルでも紛争予防が重要なことはいうまでもありませんが,仮想世界では,リアルに比べて紛争解決自体が困難であるのと,仮想世界の現状では,一旦起こってしまった紛争を解決するコストに見合うだけの経済的取引が行われていないように思えることから,一層,紛争予防ということの重要性が高いと思います。

紛争予防については,1.紛争を生じさせないようなシステムの構築とその運用,2.一般ユーザーへの警告・教育活動,個人としてのリスク回避努力などが重要になってきます。

1 紛争を生じさせないようなシステムの構築とその運用

まず,紛争を生じさせないようなシステムの構築ということですが,当然のことながら,これは仮想世界を設計している側は考えておくべきことで,現に,セカンドライフのような仮想世界では,ある程度考慮されてシステムが構築されています。

一例を挙げると,仮想土地の売買については,セカンドライフでは,代金支払と同時に土地の仮想所有権が移転されるシステムが提供されています。また,友人など特定の人に無償又は安価で売買しようとする場合には,買主を特定の人に限定する指名売買という設定ができるようになっており,横から知らない人に購入されてしまうことを防止できるようになっています。

迷惑行為の防止については,土地所有者であれば,ある特定のアバターをBANして,土地に入らせないようにすることができます。また,勝手に土地の上にオブジェクトを置く行為については,土地に返却設定をしておけば,一定時間経過後は,持ち主にオブジェクトが返却されます。

もっとも,せっかくの,こうしたシステムを利用しないで,不利益を受けることはあり得ます。土地の取引でいえば,例えば,お金を先に支払ったのに,土地を移転してくれないまま,別の人に売られてしまったとか,友人に土地を安値で売ろうとしたが,SIMに誰もいないと思って誰でも買える設定にしておいたところ,LandBOTに買われてしまったということを聞きます。しかし,システムを知っていて利用していないなら,本人の責任ですし,知らなかったとしたら,周知方法に問題があるということになりましょう。

もっとも,システムの欠陥を突くという方法も出てきます。例えば,セカンドライフでは,オブジェクトを譲渡するとき,コピー,修正,他人への譲渡を制限するか,許可するかを制作者は設定できるようになっています。また,誰でもオブジェクトを調べれば,制作者と所有者が表示される仕組みになっています。システム設計者は,これで制作者の著作権が保障されると考えていたと思われ,基本的には有効に働いている仕組みだと思います。しかし,CopyBOTを使ってコピーしたり,SIMクラッシュを利用して無断で複製したりすることがあるのは,前に書いたとおりです。これは,システムの欠陥を利用した行為です。イタチごっこになる可能性はありますが,システムの側も改良の余地があるといえます。

システムの欠陥というよりも,現状のシステムで,まだ対応できていない問題もあります。例えば,オブジェクトの全部が所有地上に置かれていれば,返却できますが,オブジェクトの一部が越境しているときは,これをシステム的に直接防止する方法はないようです。(そういえば,隣の椰子の木,少しこちらに出ているような・・・ヒトリゴト)ここらへんは,今後,改善が図られると思います。参考サイト

紛争予防のためには,今後も,こうしたシステムを,より一層充実させていく必要があると思います。

2 一般ユーザーへの警告・教育活動

どんな立派なシステムを構築しても,やはりそれが一般のユーザーに周知されていないと意味がありません。こうしたことは,プラットフォーム提供者が頑張ってやる必要があると思います。LL社もそれなりにやってはいると思うのですが,どうでしょうねえ。例えば,公式ブログを読んでいるユーザーがどれほどいるのか疑問です。もう少し周知方法を考えた方がよいかもしれません。

それに,どうしてもシステムで防止できない問題が残ります。そうなってくると,消費者教育のようなものが重要になってきます。不用意にクリックすると所持金を全部奪われる詐欺オブジェクトというのがありますが,一応システム的には,警告表示が出るはずですので,対応法を知っていれば問題ないはずですが,こうした話は,LL社から警告されたよりも,早く,他のユーザーのブログで知ったような記憶があります。

もちろん,個人レベルでもリスク回避が重要になってきます。しかし,経済取引についても,どこまでリスクを意識してやっているのか本当に疑問に思う例が多いですね。例えば,SL内銀行といっても,その実態は,単なる個人で,リアルの素性の知れない人に,どうして簡単に金を預けられるのかと思うことがあります。例えば,株の取引とかいっても,実態は,ただ金を預けるだけなんですよね。銀行がつぶれたの,会社がつぶれたのとかいっても,その裏にいる個人は(のうのうと?)生きているわけで,要は,その個人に借金を踏み倒されただけなんです。まあ,当たり前の話ですが,知らない人に金を預けないというのが大事ですね。

土地のレンタルについても,リスク回避が必要です。例えば,これからは個人運営のSIMで経営難になってくるところも出てくるように思います。しかし,SIMオーナーが破綻したときは,LL社側からみて土地の賃借人の権利はほとんど保障されていないといってよいと思いますので,信頼できる業者から賃借することが重要になってくると思います。あるいはメインランドにするか。

まあ,もともとリアルの財産の一部を仮想土地又はリンデンドルにすること自体リスクがあることですが,そもそもそれが嫌なら,仮想土地も買わず,リンデンドルも買わず,無料アカウントでフリーアイテム漁りして暮らすのが,一番のリスク回避かもしれません。もっとも,そこはそれ,リスクがあっても,それを楽しめればいいのかもしれません。

個人として,リスク回避することは重要ですが,リアルでも消費者詐欺が後を絶たないように,けっこう驚くほど無知な人が多いので,こういうことをするとリスクがあるんだよということは,LL社側も教育活動をする必要があると思います。GINKOが破綻したときに思ったのですが,そこはやっぱり不十分な感じがしますね。なんか,住民の自治に任せたら,最後はうまくいくというような,根拠のない理想主義があるような気がしてなりません。そういうのを信じられるのがいいのかなあ。まあ,きっと,わたしとは育ちが違うんですねw