Eros LLC対Thomas Simon(著作権侵害訴訟)で同意判決
Eros LLC.ほか2つの会社と4人の個人が,NYの住民Thomas Simon(アバタ名Rase Kenzo)に対して,違法コピー商品を販売しているとして,損害賠償及び侵害行為の差止めを求める訴えをNY東部連邦地方裁判所に提起したことは,前にブログ記事にしたとおりです。
この訴訟において,双方の合意がまとまり,同意判決がされたようです。同意判決とは,厳密な意味では異なりますが,おおよそ日本における裁判上の和解に相当するものと思われます。
VBの記事
同意判決の内容
これによれば,被告Simonは,原告Eros LLCらに対して,違法コピーによる損害賠償として,来年の1月15日までに525米ドルを支払うことを骨子とし,そのほか12月31日までにSimonが使用している全アカウントのセカンドライフ及びペイパルの取引履歴等を開示することなどが合意されているようです。
525ドルは,今のレートでは,日本円にすると6万円を切っています。裁判費用にすら遠く及ばない金額だと思います。しかも,この程度の金額なのに支払期日まで1か月以上あるというのも泣けます(これは支払われないこともあり得るということです。)。Eros LLCの前の欠席判決で終わった訴訟もそうですが,こうした著作権侵害行為をどのような種類の人が行うかを考えたとき,現実の損害の回収が困難であることは,ある程度予測できたことです。
もっとも,被告に侵害行為を認めさせ,取引履歴の全面開示を認めさせたことなどから,同種の行為に対する一般予防的な効果としては,かなりのものがあると思われます。原告らもそのような効果を意図して,このような合意を成立させたと考えられます。そういう意味では,和解金額にかかわらず,実質的な原告側の勝訴といえそうです。
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