2007年12月31日月曜日

2007年の総括

このブログは,主にセカンドライフをネタに駄文を重ねてきました。
もともと更新頻度は高くなかったのですが,後半は,更にリアルが忙しくなり,失速してしまいました。
それでもブログを見に来てくれて,ありがとうございました。

セカンドライフ内で起こった性表現の規制の問題,ギャンブルの問題,著作権侵害の問題などを取り上げて記事にしてきました。そういった記事を書いていて思ったことは,セカンドライフで起こっている様々な法的な問題は,それまでインターネットの発達によって生じた人と人との関わりで生じた紛争,インターネット上に生まれたコミュニティに生じた法的問題などが,形を変えて現れたものが多いということです。
もちろん,仮想世界に特有の問題もありますが,インターネットの持つ匿名性,ボーダーレスなど,それまでのインターネット上の紛争の特徴が反映しているものが多いように思います。したがって,それらの問題に取り組むためには,セカンドライフのことを知るだけでは不十分であり,もっと広い視野が必要だと痛感いたしました。また,逆に,セカンドライフ上の法的問題の処理は,広くインターネット全般に応用可能な要素もあるということがいえます。

その意味では,いろいろ勉強しなければならないことが多いと感じています。もともと,楽しみで始めたセカンドライフであり,その基本は今も同じですが,こんなにいろいろな方面に知的好奇心を奮い起こされたのは,久々のことであり,セカンドライフをやってみて,本当によかったと思います。

リアルでもそれなりに多忙な1年でしたが,セカンドライフでも本当にいろいろなことが経験できました。まだまだ,やりたいことの半分もできていませんが,あせらず,マイペースでやっていきたいと思います。

勝手に持ち上げられて,勝手にこき下ろされたLL社の方もおつかれさまでした。わたしも,心の中では評価してますよ。純粋な楽しみの場として,セカンドライフを支持している人は着実にいますし,それらのユーザーの声に,しっかりと耳を傾けていけば,まだまだ成長の要素はあると思います。

最後になりましたが,セカンドライフの中でたくさんの出会いがありました。
もともと飽きっぽい性格なので,それらの方々との出会いがなかったら,多分,セカンドライフ自体もブログも,ここまで続いていなかったと思います。
本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。m(_ _)m

SL総合研究所 Sora

2007年12月26日水曜日

仮想世界の紛争予防の重要性

世間では,クリスマスのようですが,わたしは,ひたすら仕事です(グスン)
かといって,せっかく始めたブログですから,そろそろ更新しないとヤバイです。あまり煮詰めた話もできませんが,忙しい師走なので,後日暇になったら補充ということでご勘弁願います。

最初,仮想世界の紛争をどう解釈するかという内容で,原稿を書いていたのですが,やはり,その前に強調しなければならないのは,紛争の予防ということです。リアルでも紛争予防が重要なことはいうまでもありませんが,仮想世界では,リアルに比べて紛争解決自体が困難であるのと,仮想世界の現状では,一旦起こってしまった紛争を解決するコストに見合うだけの経済的取引が行われていないように思えることから,一層,紛争予防ということの重要性が高いと思います。

紛争予防については,1.紛争を生じさせないようなシステムの構築とその運用,2.一般ユーザーへの警告・教育活動,個人としてのリスク回避努力などが重要になってきます。

1 紛争を生じさせないようなシステムの構築とその運用

まず,紛争を生じさせないようなシステムの構築ということですが,当然のことながら,これは仮想世界を設計している側は考えておくべきことで,現に,セカンドライフのような仮想世界では,ある程度考慮されてシステムが構築されています。

一例を挙げると,仮想土地の売買については,セカンドライフでは,代金支払と同時に土地の仮想所有権が移転されるシステムが提供されています。また,友人など特定の人に無償又は安価で売買しようとする場合には,買主を特定の人に限定する指名売買という設定ができるようになっており,横から知らない人に購入されてしまうことを防止できるようになっています。

迷惑行為の防止については,土地所有者であれば,ある特定のアバターをBANして,土地に入らせないようにすることができます。また,勝手に土地の上にオブジェクトを置く行為については,土地に返却設定をしておけば,一定時間経過後は,持ち主にオブジェクトが返却されます。

もっとも,せっかくの,こうしたシステムを利用しないで,不利益を受けることはあり得ます。土地の取引でいえば,例えば,お金を先に支払ったのに,土地を移転してくれないまま,別の人に売られてしまったとか,友人に土地を安値で売ろうとしたが,SIMに誰もいないと思って誰でも買える設定にしておいたところ,LandBOTに買われてしまったということを聞きます。しかし,システムを知っていて利用していないなら,本人の責任ですし,知らなかったとしたら,周知方法に問題があるということになりましょう。

もっとも,システムの欠陥を突くという方法も出てきます。例えば,セカンドライフでは,オブジェクトを譲渡するとき,コピー,修正,他人への譲渡を制限するか,許可するかを制作者は設定できるようになっています。また,誰でもオブジェクトを調べれば,制作者と所有者が表示される仕組みになっています。システム設計者は,これで制作者の著作権が保障されると考えていたと思われ,基本的には有効に働いている仕組みだと思います。しかし,CopyBOTを使ってコピーしたり,SIMクラッシュを利用して無断で複製したりすることがあるのは,前に書いたとおりです。これは,システムの欠陥を利用した行為です。イタチごっこになる可能性はありますが,システムの側も改良の余地があるといえます。

システムの欠陥というよりも,現状のシステムで,まだ対応できていない問題もあります。例えば,オブジェクトの全部が所有地上に置かれていれば,返却できますが,オブジェクトの一部が越境しているときは,これをシステム的に直接防止する方法はないようです。(そういえば,隣の椰子の木,少しこちらに出ているような・・・ヒトリゴト)ここらへんは,今後,改善が図られると思います。参考サイト

紛争予防のためには,今後も,こうしたシステムを,より一層充実させていく必要があると思います。

2 一般ユーザーへの警告・教育活動

どんな立派なシステムを構築しても,やはりそれが一般のユーザーに周知されていないと意味がありません。こうしたことは,プラットフォーム提供者が頑張ってやる必要があると思います。LL社もそれなりにやってはいると思うのですが,どうでしょうねえ。例えば,公式ブログを読んでいるユーザーがどれほどいるのか疑問です。もう少し周知方法を考えた方がよいかもしれません。

それに,どうしてもシステムで防止できない問題が残ります。そうなってくると,消費者教育のようなものが重要になってきます。不用意にクリックすると所持金を全部奪われる詐欺オブジェクトというのがありますが,一応システム的には,警告表示が出るはずですので,対応法を知っていれば問題ないはずですが,こうした話は,LL社から警告されたよりも,早く,他のユーザーのブログで知ったような記憶があります。

もちろん,個人レベルでもリスク回避が重要になってきます。しかし,経済取引についても,どこまでリスクを意識してやっているのか本当に疑問に思う例が多いですね。例えば,SL内銀行といっても,その実態は,単なる個人で,リアルの素性の知れない人に,どうして簡単に金を預けられるのかと思うことがあります。例えば,株の取引とかいっても,実態は,ただ金を預けるだけなんですよね。銀行がつぶれたの,会社がつぶれたのとかいっても,その裏にいる個人は(のうのうと?)生きているわけで,要は,その個人に借金を踏み倒されただけなんです。まあ,当たり前の話ですが,知らない人に金を預けないというのが大事ですね。

土地のレンタルについても,リスク回避が必要です。例えば,これからは個人運営のSIMで経営難になってくるところも出てくるように思います。しかし,SIMオーナーが破綻したときは,LL社側からみて土地の賃借人の権利はほとんど保障されていないといってよいと思いますので,信頼できる業者から賃借することが重要になってくると思います。あるいはメインランドにするか。

まあ,もともとリアルの財産の一部を仮想土地又はリンデンドルにすること自体リスクがあることですが,そもそもそれが嫌なら,仮想土地も買わず,リンデンドルも買わず,無料アカウントでフリーアイテム漁りして暮らすのが,一番のリスク回避かもしれません。もっとも,そこはそれ,リスクがあっても,それを楽しめればいいのかもしれません。

個人として,リスク回避することは重要ですが,リアルでも消費者詐欺が後を絶たないように,けっこう驚くほど無知な人が多いので,こういうことをするとリスクがあるんだよということは,LL社側も教育活動をする必要があると思います。GINKOが破綻したときに思ったのですが,そこはやっぱり不十分な感じがしますね。なんか,住民の自治に任せたら,最後はうまくいくというような,根拠のない理想主義があるような気がしてなりません。そういうのを信じられるのがいいのかなあ。まあ,きっと,わたしとは育ちが違うんですねw

2007年12月16日日曜日

近況報告

最近リアルライフが大変忙しくなって,ブログの更新ができなくなってしまいました。
今日は,つまらない駄文でブログを埋めようという作戦ですw

この間,セカンドライフにはログインしていましたが,自宅をメインランドの少し広い土地に引っ越し,その後のbuildの連続で、到底ブログまでは手が回りませんでした。ほんとに時間がいくらあっても,足りないくらいです。あと,イベントの参加とかもろもろもあったり。自宅の整備がおわったら,いろいろ製作にとりかかりたいのですが,どうなることやら。いろいろやりたいことが多すぎて困ります。

わたしは,どちらかというとライトゲーマーですが,今までは,それなりにゲームをやっていました。しかし,最近は,そんなこんなで全くゲームをやっていないように思います。まあ,セカンドライフもゲームといえば,ゲームなんですけどね。ちょっと,違うような。

それでもMMORPGには関心があるので,いろいろと情報だけは集めているのですが,あまりに沢山のネットゲームがありすぎですね。時間があったら,あれこれ試してみたいのですが,実際は,ラグナロクオンライン2(RO2)のオープンβをちょっとやっただけで,それもすぐに飽きました。こんなにネットゲームがあったら,さぞかしゲーム提供者側も競争が大変だろうなと心配していましたが,案の定,収益が悪化するなど,苦戦しているところも出てきているようです。

ちょっとニュースとしては古いですが,「ロード・オブ・ザ・リングス・オンライン」や「ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン」を運営しているさくらインターネットは,債務超過に陥り,社長が辞任するということになってしまいました。
同社では,クライアント料金を無料化するなどして,まき直しを図ろうとしているようです。それなりに面白そうなゲームだけに何とか頑張ってもらいたいものです。

ちょっと,気になっていたタイトルとしては,GMO Gamesの「アニス&フリッキー」というのがあったのですが,これも12月31日でサービス終了するようです。
あと,RO2も正式サービス開始時期を大幅に延期するなど,苦戦しているようです(それにしても予定料金高すぎじゃない?)。

コンシューマーゲームについても,そう思うのですが,いろいろなタイトルが出ていても,似たようなものばっかりというか,もうひとつコレといったものがないですねえ。最近,面白そうだとおもったのは,PATAPONくらいです。

このブログでも前に仮想世界のカンブリア紀で取り上げましたが,仮想世界のほうも,これからは競争が激しくなっていくと思われます。セカンドライフについても,これまでの拡大傾向が減速しているという報道もあり,リンデンラボもうかうかしていられないと思います。しかし,リンデンラボは,宣伝活動を熱心にしていると思えないんですが,大丈夫なんでしょうか?そういえば,リンデンラボは,井之上パブリックリレーションズと戦略広報の正式契約を締結したというニュースはかなり前に聞いたような気がします。しかし,その後,目立ったことをやったとは聞いていないように思いますが,わたしが知らないだけでしょうか?どなたかリンデンラボの日本での宣伝活動がどうなっているか,教えてください。

それと,前に紹介した国内版仮想世界meet-meが,今日から試験登録を開始したようです。興味がなくはないのですが,多分,わたしは,やらないでしょう。なぜなら,東京の街をリアルに再現した世界というのが,meet-meのウリだそうですが,毎日,東京であくせく働いている身としては,仮想世界の中まで東京に居たいとは絶対に思えません。やっぱり,わたしとしては,セカンドライフのように閑散としているとか貶されるくらい,人が少なくて,のんびり,まったりとした世界で過ごすのがいいですね。

 ということで,今日も,セカンドライフの中で,お話ししたり,イベントに出たり,物をつくったりして,だらだらと過ごしたいと思います。
 
 ブログのほうも,例えば,仮想世界内の紛争をどう扱っていくかといった,基本的なところから,整理していきたいと思います。時間があれば・・・ですが(^^;)

2007年12月5日水曜日

Eros LLC対Thomas Simon(著作権侵害訴訟)で同意判決

Eros LLC.ほか2つの会社と4人の個人が,NYの住民Thomas Simon(アバタ名Rase Kenzo)に対して,違法コピー商品を販売しているとして,損害賠償及び侵害行為の差止めを求める訴えをNY東部連邦地方裁判所に提起したことは,前にブログ記事にしたとおりです。

この訴訟において,双方の合意がまとまり,同意判決がされたようです。同意判決とは,厳密な意味では異なりますが,おおよそ日本における裁判上の和解に相当するものと思われます。

VBの記事

同意判決の内容

これによれば,被告Simonは,原告Eros LLCらに対して,違法コピーによる損害賠償として,来年の1月15日までに525米ドルを支払うことを骨子とし,そのほか12月31日までにSimonが使用している全アカウントのセカンドライフ及びペイパルの取引履歴等を開示することなどが合意されているようです。

525ドルは,今のレートでは,日本円にすると6万円を切っています。裁判費用にすら遠く及ばない金額だと思います。しかも,この程度の金額なのに支払期日まで1か月以上あるというのも泣けます(これは支払われないこともあり得るということです。)。Eros LLCの前の欠席判決で終わった訴訟もそうですが,こうした著作権侵害行為をどのような種類の人が行うかを考えたとき,現実の損害の回収が困難であることは,ある程度予測できたことです。

もっとも,被告に侵害行為を認めさせ,取引履歴の全面開示を認めさせたことなどから,同種の行為に対する一般予防的な効果としては,かなりのものがあると思われます。原告らもそのような効果を意図して,このような合意を成立させたと考えられます。そういう意味では,和解金額にかかわらず,実質的な原告側の勝訴といえそうです。

2007年12月1日土曜日

Eros LLCの訴訟で欠席判決

リアルが大変忙しくて,ブログの更新が滞ってしまいました。
いろいろネタはあったのに,書けなくて残念です。

さて,Eros LLCの訴訟で被告となったアバター名Volkov Catteneoのリアルの人格が特定されたことは,前にブログの記事にしたとおりです。

しかし,その男性は,所定期間内に,裁判所に対して何らの応答もしなかったことから,欠席判決がされる見通しです。

ロイターの記事

要するに,原告であるEros LLCの主張事実を認めたのと同じ扱いになるということです。

これによって,Eros LLC側がいくらの損害賠償を求めることができるのかよくわかりませんが,最終的には,強制執行も可能になると思われます。ただ,報道の範囲内では,被告となった19歳の男性に,めぼしい資産や収入があるようには思われません。資産がないからこそ,特に裁判で争わなかったとも考えられます。最後までどうなるかわかりませんが,現実の回収はなかなか難しいかもしれません。

なお,Eros LLC側は,LL社にVolkov Catteneoのアカウント剥奪を求めていくようです。