2007年9月29日土曜日

EU住民への付加価値税相当額の支払請求

1 EU住民へのVAT相当額支払請求

LL社は,EU(ヨーロッパ連合)の住民に対して,LL社との取引に関してVAT(付加価値税,日本の消費税のようなもの)相当額を支払うように告知したようです

対象となる取引は,プレミアムアカウントの料金,メインランドの土地使用料,SIMを購入するときの代金,その維持費の支払などで,おそらくLL社から受けるサービスの対価全部が対象となると思われます。
正確には,これらの取引に対して,EU諸国がLL社に課税し,それを消費者(EU住民)に転嫁するということだと思います。

どうして急にこのような措置がとられるようになったか不明ですが,あるいはVATに関してEU諸国の課税当局から何らかの働きかけがあったのでしょうか?

2 日本の消費税はどうなる?

これに関連して,日本の消費税の取扱いはどうなるのか気になって調べてみました。

日本の消費税は,国内において事業者が行った資産の譲渡,役務の提供等に課されます。要するに,国内取引にのみ課税されるという建前になっています。

そこで,セカンドライフのように,外国法人がインターネットなどでサービスを提供し,そのサービスを国内で受けているというケースではどうなるかが問題となります。

これについては,サービスの享受地が国内なので,国内取引と見る余地があるようにも思いますが,課税当局は,国内に外国法人の事業所がない限り,国内取引ではないという扱いをしているようです。

参考1
参考2

したがって,セカンドライフの利用について日本の消費税は課せられないようです。わたしはEU諸国も日本と同じだと思っていたのですが,今回のLL社の取扱の変更をみると,違うのかもしれません。

もっとも,これはLL社とユーザー間の取引のみに言えることで,例えば国内法人から土地のレンタルなどのサービスを受ける場合は,国内取引となる可能性があります。

この場合,外国のサーバー内のレンタルであることから,役務の提供場所は外国であって,国内取引でないとする見解もあり得ますが,サービスを提供する法人の事業所が国内にあるのであれば,国内取引とみなされる可能性があります。

もっとも,わたしの経験では,国内のレンタル業者で消費税分を付加しているところはないように思うのですが,当局は外国のサーバー内のことだからよいと考えているのか,単にそこまで捕捉していないのか,どちらか不明です。